- もし、それが聞こえているなら
- それはあなたに語り掛けている
- もし、それが見えるなら、それはあなたの・・・
人はもはや、進化をしない生き物ではないのか。
癌の発生率が、他の動物に比べて極めて少ない。
ネオテニーである人類は、もはや進化出来ないとする学説がある。
もしそれが本当だったとしたら、なんと愚劣な生き物に進化してしまったものだ。
自分達を動かしている力の事も知らず、ただ欲望を満たすだけの為に肉体を維持している。
つまらないとは思わないか。
人間なんてそんなものでしかないんだ。
そんな惨めな人間で居続ける必要は無いんだ。
抜け出す為の出口だけは、人間はやっと生み出せたんだからね。

なんの事?
ネットワーク、ワイヤードの事さ。玲音。
あなた、誰?
僕は、神様だよ。
岩倉 美香(いわくら みか)は男の家から帰ろうとするも、渋谷の交差点で急ブレーキする車を見かける。

人形に語りかける岩倉 玲音(いわくら れいん)。
どんな話を聞きたいの?玲音ちゃん。
あなたが知らないことは、存在しないことだわ。
存在しないお話なんて、私は出来ないの。
出来事というのは、まず最初に予言があるものよ。
出来事は予言があって、初めて現実化するの。

- 東京各地で、VPCZX(道路交通情報配信システム)が間違ったデータを配信。
- 特に、渋滞している交差点等で、信号機と乗用車、トラックの自動走行プログラムが干渉しあい、暴走する等の事故が多発しました。
- 東京渋谷では、死傷者が出るなどの被害が出ておりますが、情報庁では、すでにシステムは復旧しており、今後こういう事故はおきないと話しています。

タロウが玲音の姉、岩倉 美香(いわくら みか)をナンパしようとするも、持っていた飲物をこぼしてしまい、慌てて逃げだすタロウ。
美香は先程ティッシュ配りから受け取ったティッシュで、汚れた服を拭き取ろうとするも、ティッシュに描かれている気味の悪い文字をみて、気味が悪くなる。
- 冥府は溢れている
- 死者共は行き場を失うだろう
ふと交差点をみると、車が行きかう赤信号の中で玲音がたたずんでいる。
見上げると、街頭ビジョンに玲音の顔が映りだす。

木像とお話しする玲音。
予言は実行されるのだ、玲音。
歴史というのは、リニアに流れている時間軸上にて、ただ点として通過されるものではないんだ。
それらは全て線でつながっている。
いや、つなげさせられているといった方が良いかもしれない。

学校で玲音は、瑞城 ありす(みずき ありす)、山本 麗華(やまもと れいか)、加藤 樹莉(かとう じゅり)から賞賛される。
何の事だかわからない玲音。

- 昨日の午後、通信ネットワークに起こった異変は、故意に引き起こされた可能性が高いとして、情報庁、情報管理局が調査を始めました。

樹莉、麗華と共にファーストフード店で話すありすのもとへ、「予言を実行せよ」というスパムメールが届く。
ありすはワイヤードで知り合ったギークな友達から聞いた話を語る。
「ワイヤード上の噂では、これを流しているのはナイツ。」
「凄いハッカー達の集団の様だが、集団というのも違うかもしれない。」
「ワイヤードの中では凄い力を持っていて、陰で様々な事を行っている。」
「面白いからとか、お金の為とかじゃない。」

玲音の母、岩倉 美穂(いわくら みほ)と話す玲音。
ワイヤードはリアルワールドの上位階層とみるのが適当です。
すなわち、肉体の現実など、ワイヤードに流れる情報のホログラムでしかありません。
そもそも、肉体。人間の脳の活動はシナプスの電気伝達によって引き起こされている、きわめて物理的な現象にすぎませんからね。
肉体の存在理由は、そうやって自己の存在を確認する為にあるだけ。

美香は気づくと、車が行きかう赤信号の交差点の真ん中に座り込んでいた。
影の様な人々が、ゆっくりこちらへ近づいてくる。
ファーストフード店では、いつも通りの光景。
少し安心し、コーヒーを飲もうとするがテーブルにこぼしてしまう。
すると、こぼれたコーヒーから文字が浮かび上がる。
- 予言を実行せよ
驚く美香は周りを見渡すも、先程までいた人々は、誰一人として居なくなっている。
トイレでは突然電気が消え、扉が開く音。
音のした個室へ近づき、扉を開けるも誰もいない。
個室の中へ入った途端に電気がつき、扉が突然締まる。
閉まった扉にびっしりと書かれている文字。
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ
- 予言を実行せよ

玲音の父、岩倉 康男(いわくら やすお)と話す玲音。
ワイヤードに流れているのは、単に電気的な情報だけではないのかもしれない。
ワイヤードが形成されたのが、電気や電話などの発達を起源とするなら、その時点で、もう一つの世界が生まれていたのではないかという気がしてならない。
このリアルワールドに、神という存在は概念でしか存在しない。
しかし、ワイヤードなら、ゼウス的存在が具現しうるのではないか。
神と呼ぶのが適当かどうかは分からない。
少なくとも、神話に登場する、それと同様の支配的な力を有しているとは思う。
ワイヤードのゼウスとは、その支配力を事によっては既に、このリアルワールドにも及ぼしている可能性だってある。
そう。予言という形で。

家に逃げ帰る美香は疲れ果て、玄関で膝から崩れ落ちる。
すると、部屋の奥から美香が歩いてきて、こちらを見る。
自分自身の登場で驚きを隠しきれない美香。
しかし、玄関の美香はもういない。
薄暗い部屋でNAVIを立ち上げる玲音。
「今日は、誰?」





