男と対峙する岩倉 玲音(いわくら れいん)。
「たった一つの真実。神様。」
「僕は肉体なんてものは不要だとわかったんだ」
「死というのは、単に肉体を捨てただけのことさ」
「そのプロトコルには、圧縮された情報が混入していた。」
「人の記憶。この私、英利 政美という男の思考、履歴、記録、情緒」
「ワイヤードにアノニマスな存在として永遠に生き続け」
「そこを情報によって支配しようとする存在」
「不変の存在であって影響を及ぼすことが出来たとしても」
「あがめる者がいなくては神とは言えない」
「でも、それがいた。いえ、作ったのね」
「ナイツ」
「君にはもう、肉体なんていらないんだ玲音」

学校ではいつもの日常と何も変わらない。
だが、教室の中には玲音の席だけがない。
自分の席が存在した場所で立ちすくむ玲音。
何事もなかったかのように授業が始まる。
先生でさえも玲音が存在しないかの様に。
「私が肉体を持ってちゃいけないのかな」
瑞城 ありす(みずき ありす)が玲音へ向かって話しかける。
「そうよ玲音。あなたはリアルワールドには必要がないんだよ」

玲音が家に帰ると、誰もいない。
冷蔵庫は空いたまま、植物も枯れていて、部屋は散らかっている。
部屋を片付けていると、そこへ玲音の父、岩倉 康男(いわくら やすお)がやってくる。
「これでお別れです。玲音さん。」
「もうご存知になったんでしょ。」
「私たちの仕事は終わったんです。」
「短い間でしたが、大したお世話も出来ず。」
「あなたはどうしようと自由です。」
「いや、最初からあなたは自由だったんだ。」
「お別れをいう許可は得ていないのですが、私はあなたが好きだった。」
「別に家族ごっこが楽しかったわけじゃない。」
「あなたという存在が、私には羨ましかったのかも知れません。」
立ち去る康男へ向かって玲音は呼び止める。
「まって、私を一人にしないで」
「一人?一人じゃないですよ。あなたは」
「ワイヤードにコネクトすれば、誰もがあなたを迎えてくれる。」
「そういう存在だったんです。あなたは。」

私は一人じゃない。
何がしたいの?玲音。
ここはあなたの世界よ。玲音。
何がしたいの?玲音
ナイツ、ナイツって誰なの?
ワイヤードの神が神であるのはそれを崇めるものがいるから。

サイベリア閉店後、タロウとミューミューとマサユキは、ナビにナイツのメンバーが映し出されていることに気づく。
「リストだ。ナイツのメンバーのリストがネットニュースに流れてる」

ナイツのメンバーであるエリート風の男は、自身がネットニュースにて明かされている事を知る。
急いで荷物をまとめるが、そこへ黒いスーツを着た男二人が訪れる。
「けじめをつけような」
秘書がエリート風の男のもとへ訪れると、すでに死んでいた。
他にも、ナイツのメンバーであるオタク風の男、マンションの主婦も死んでいた。
ネットニュースには次々とメンバーのリストが明かされていく。
- TAKUYOSHI MASUOKA
- SHOKO MASATSUGU
- TAKATO IIJIMA
- RUDOLF GRAVER
- JANET GINGER
- ・・・・
本日、世界各国にて連鎖自殺が続発しており、各国の情報管理局、警察が原因の究明に乗り出しています。
自殺したのは、いずれもネットワーク関連に従事している人たちで、消息筋によると、ナイツというメンバーであるとされています。

自室でコードとつながる玲音。
そこへ、黒いスーツ姿の男二人が訪れる。
「なんで、あんなことしたの?」
「それは私たちのクライアントからのご依頼です。」
「あなたは世界中のナイツを狩りだしてくれた。」
「我々の仲間が現在、一斉に処理に回っています。」
「ワイヤードは特別な世界であってはならない。」
「あくまでリアルワールドを補強するサブシステムとして機能べきフィールド。」
「あんたもワイヤードの中じゃ、あってはならない存在なんだよ。」
「でもあんたは無事じゃないか。」
「どうやらあんたには、神とやらのご加護があるらしい。」
「いずれ英利政美の残留思念プログラムもワイヤードからディスインペクトされます。」
「私達のクライアントはプロトコル7のコードを全面的に書き換える作業をしているところです。」
「神など、必要無いのですよ。」
「そう、ワイヤードでもリアルワールドでも。」
男の一人が、ゴーグルを外して玲音に語り掛ける。
「私達は未だにあなたが何なのか理解できていない。」
「しかし、私はあなたが好きだ。」
「不思議な感情ですね、愛というのは」

道路に立つ玲音。風が強い。
「どうするの?」
「お祈りする人は、いなくなっちゃったよ。」
「君が君でいられるのは僕のおかげなんだよ。」
「君はもともとワイヤードの中で生まれた存在なんだ。」
「ワイヤードの中の伝説。ワイヤードの中のおとぎ話の主人公。」
「リアルワールドの岩倉玲音はそのホログラムに過ぎない。」
「人工リポゾームによるホムンクロス。」
「君の実態など元々ないんだよ。」
「嘘の家族、嘘の友達、そう、全部嘘だったんだ。」
「可愛そうな玲音。もう一人ぼっち。」
「でも僕がいる。愛している僕がいる。」
「君をこの世界に送った僕を君は愛してくれるはずだ。」
「僕は、きみの創造主なんだ。」
「僕を愛して、玲音。」
「ねぇ玲音。」
「もう1人の・・・もう1人の私は」
「もう1人じゃない。本当の君さ」
玲音は雰囲気が変わり、レインそのものになる。
「どっちでもいいよ、そんなの」





